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審査講評

New A Live vol.21 ファイナルについて、3名の審査員の方々より講評を頂きましたので、掲載させていただきます。

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山内翔平さんより

まずは皆様、改めましてお疲れ様でした。自分が演者としてNew A Liveに出演したのがvol.4とvol.5でしたので、時の流れの速さに絶望しております。

いつからか結果発表の前に全体講評をお話しする機会をいただき、毎回同じようなことを繰り返している気がしますので、今回は他2名(優秀な後輩ですので信頼しています)に講評を任せ、大会の意義と練習方法についてお伝えし、当日の講評と併せて私からのメッセージとさせてください。

①大会の意義

運営の方々と異なる部分があるかもしれませんが、1年目時点での大会の意義は「早い段階で発表会から演奏会に昇華させること」と「(正しいかはさておき)アカペラという演奏形態における評価基準を理解させること」かなと思っています。NALに出演される皆様のほとんどが結果の出る大会を初めて経験し、「見てもらう」姿勢から「魅せる」姿勢になっていきます。ここがNALの魅力でもあるのですが、皆様には新鮮さも大切にしつつ、演奏にお金を払ってもらっているという意識をもっていただきたいと思います。

また、アカペラにおいてどういった演奏が評価されるのかを理解することはとても大事だと思います。時にアカペラならではの評価基準やバイアスを感じることもありますが、私は出来るだけ音楽的な部分にフォーカスして評価をしてきたつもりですし、後輩の皆様にもそうあってほしいと思っています。良くも悪くも勝ち負けが決まってしまう場ですので、聴き手に伝わる演奏ができていると良いですね!

②練習方法

これまでもお伝えしていますが、歌い手が気になっていても聴き手はそこまで違和感のないことがあります。例えばピッチの微妙なズレや曲全体のテンポなどです。これらは繰り返し練習をしていればその日の調子がいつもと違うことに気づきますが、(特に私のような)初めて聴く人間への影響は少ないと考えます。反対に、曲中でのテンポの揺れや発声の違いは明確に違和感として伝わります。この点について、聴き手の目線で研鑽を積んでいただきたいと思います。

練習方法に困った時は、BPMを5程度遅めて(早めて)歌ってみたり、Bメロ〜サビ、サビ〜アウトロのように曲の展開が不自然に繋がっていないかを確認できるよう切り取って練習してみてください。

 

本大会はフレッシュさと今後の可能性を強く感じた回でした。切磋琢磨してより良い音楽を創り上げてください!

遠藤日奈子さんより

出演者の皆さん、観客の皆さん、そして運営スタッフの皆さん、本当にお疲れ様でした!

今回のNALファイナルではグループごとに異なるコンセプトが光り、これから皆さんがどのように技術を磨き、どんな音楽を目指していくのかがとても楽しみになりました。

審査を通じて、特に皆さんに意識していただきたいと感じたポイントを2つお伝えします。

まず1つ目は、ハーモニーの中での自分の音の役割を理解することです。和音を構成するうえで自分がどの音を担っているのかを意識し、練習ではその和音の響きをメンバー全員で確認してみてください。また、各パートの音量バランスをどう調整するとより心地よいサウンドになるのかを探ることが、精度向上につながると思います。

2つ目は、楽曲全体の設計を考えることです。まずはAメロ・Bメロ・サビなど楽曲の構成を理解し、それぞれをどれくらいの熱量で歌い進めるのかをグループ全体で共有することから始めると良いと思います。 また、大まかなダイナミクスを決めた上で、各ブロックごとの細かな表現を詰めていくと、より完成度の高いパフォーマンスが生まれると思います。

​この大会を通じて得た経験を糧に、皆さんがさらに充実したアカペラライフを送れることを心から願っておりま

す!

三上侃千さんより

NALvol.21の審査を担当させていただきました、AIRS10 期 OB の三上侃千です。

出演された演者の皆様、大会に向けて準備を進めていただいた運営の方々、大変お疲れさまでした。vol.20も審査員を務めさせていただいた中で、特に今大会気になった点を2点挙げさせていただきます。

 

①芯のある発声ができているか

今大会、多くのバンドで、落ちサビや静かな表現の場面において「静けさ」を意識するあまり発声自体が弱くなってしまい、音程以前にハモらないという事象が多く見られました。

表現したいことはよく伝わってくるのですが、それを意識するあまり声に芯がなくなり、「音程は合っているのに上手く和音が鳴らない」といった場面が多くありました。

「弱」を意識することも大切ですが、個人的には1曲の中でのMAX音量を定め、そこから引き算で曲のダイナミクスを表現することをおすすめします。本当に基本的なことですが、「大きな声で歌う」ことでまずはしっかりとハモる感覚を掴んで欲しいと思います。

②ベースのマイキング

今大会もう一点顕著に気になった点が、ベースのマイキングです。今大会の会場の特性もありますが、正直聴き手としてはほとんどのベースパートがあまり聴こえなかったように感じました。これは経験あるのみとしか言えない面もありますが、今大会会場のように、低音域がぼやけるステージでいつもと変わらないマイキングをしてしまうと、ベースラインの輪郭が不明瞭になってしまったり、アタックもぼやけてしまったりといった恐れがあります。音響がぼんやりとしていたり、ホールのように響きやすい会場では、マイクを少しだけ立てて歌ってみるといったマイキングも有効かと思います(あくまで私個人の経験則です)。

ぜひリハーサルの時間を有効に使い、会場に合わせたマイキングを意識する、low、highの調整、など様々な角度から検証することをおすすめします。

 

最後になりますが、どうしても大会を意識してしまうと、「歌を楽しむ」ということをつい忘れてしまうことがあります。私自身も学生時代は結果を求めるあまり楽しむことを二の次にしてしまっていたこともありました(笑)

しかし、大半の人は「歌が好き」でアカペラを始めたと思いますので、その気持ちを忘れずに、音楽を楽しみながら頑張ってみて欲しいと思います。

今後のご活躍を楽しみにしています!

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