審査講評
New A Live vol.20 ファイナルについて、3名の審査員の方々より講評を頂きましたので、掲載させていただきます。
山内翔平さんより
出演された皆様、御指導いただいた先輩の皆様、応援していただいた皆様及びスタッフの皆様、大変お疲れ様でした。
NALvol.12から審査をしている中で、光る部分が多かった印象を受けました。一方で惜しいと感じた点も多く、今後の伸び代に期待したいと思います。
恐縮ですが気になった点を3つだけ。
まず審査において、細かいリズムやハーモニーよりも、何を伝えたいのかをグループ内で共有できているかを重視しました。というのも、意識が統一されていないと音量や歌い姿等に大きく表れてしまうからです。観客は目で耳で演奏を感じています。この点を意識できているグループを評価しました。
次に演奏全体を俯瞰で捉えられているかを指摘させてください。楽譜や苦手な部分に意識が向きすぎて余裕がなかったり、曲に踊らされていると観客に伝わってしまいます。聞き手は(審査員を含めて)粗探ししている訳ではないので、選曲や編曲の意図、演奏の魅力が伝わるよう余裕を持って表現してみてください。
最後に私はボイスパーカッションを担当することが多かったのでリズムについて触れさせてください。走ってもいいがもたってはいけない曲、オンタイムで打たなくてはいけない太鼓、リズムを後ろで取った方が気持ちいい曲があります。詳しい音楽理論はさておき、いろいろな曲を聴いてみて、感覚を掴んでみてください。曲前のカウントはマイクに入れるべきか、手拍子を煽るべきタイミングはどこか、改善の余地はどこにでもありますよ!
改めてお疲れ様でした。当日の結果は当日の結果!また頑張りましょう!!!
小瀬和記さんより
お疲れ様でした!
NALの審査は今回が初めてでしたが、1年目の皆さんのフレッシュな演奏を聴けて本当によかったです。
大会ということで順位はつけさせていただきましたが、まだアカペラ生活は始まったばかり。NALを通過点として、自分やグループの演奏の向上に繋げていただけたらと思います。
総評ということで、僕からは特に気になったことを2点お伝えさせていただきます!
①子音、母音の選択と共有
シラブルが日本語的な発音すぎて幼い印象になってしまったグループが多かったと思います。
uh、ah、du、fonなどたくさんのシラブル/スキャットを使って楽譜が作られていますが、より良い演奏のためにはベストな子音、母音を選択しましょう。
例えばohの一つでも、ひらがなで「おー」と言うイメージなのか(この場合は適切に使わないと幼く聞こえてしまう)、「a」の成分が入ったohなのか、はたまた子音に若干hを入れて「ho」っぽく歌うのか。歌い方は曲ごとに無限です。
つまり、楽譜上には書き表せないほど子音、母音には幅があり、それが曲とマッチしないと違和感を生んでしまいます。たくさんの選択肢の中からベストな歌い方を試行錯誤して見つけていきましょう!
パーカスの場合は音色や音価などが相当しますね!
②ダイナミクスについて(母音による強弱)
MAXのボリュームはしっかり出ているものの、小さくするところを抑え過ぎていて声が震えてしまうなど、違和感があるグループがいくつかあった印象です。
例えばa母音、o母音の時は声を張りやすいですがi、u母音の時は声を張りにくいと思います。
ただでさえ声量が出やすいa.o母音のところでダイナミクスをつけようと声を張りすぎていたり、逆に声量が出にくいu母音のところで声を抑えすぎていたりするグループが多かったです。
もちろん音量差がなさすぎたりしたら調整は必要ですが、無理に意識し過ぎることはないと感じました。そうしたことから、母音が与える役割を理解し、小さいところを抑えるよりも全体の音量を底上げしてマイキングなどで微調整するほうがより声が安定して良い演奏につながると思います!声量は正義です。
以上2点お伝えさせていただきました。参考にしていただけたら幸いです!
わからないことがあったら僕含め先輩をふんだんに使ってください。これからの活躍を楽しみにしています!
三上侃千さんより
NALvol.20 の審査を担当させていただきました、AIRS10 期 OB の三上侃千です。
まずは、出演された演者の皆様、大会に向けて準備を進めていただいた運営の方々、大変お疲れさまでした。記念すべき第 20 回目の NAL もとても素晴らしい大会になったのではないかと感じています。早速ですが、以下の 3 点についてお伝えできればと思います。
〇今大会の講評
今大会の講評ですが、①「基礎的な」ハーモニー、リズムの精度がしっかりとしているか、②表現のすり合わせがバンド内できちんと共有されているかが、勝敗を分ける決め手になったと感じています。①については練習あるのみだと思いますので、1 曲を通して練習する他、セクション毎で区切って練習を進める、BPM を落として和音の鳴り方を正確に確認しながら歌うなど、工夫しながら練習を進めて見て欲しいと思います。自分たちでわからなければ、どんどん先輩たちを頼りましょう。②については、特にリードとの表現のすり合わせができているバンドとそうでないバンドでの差が大きく見られました。場合によっては、バックがリードを追い越してしまう場面も多々見られたため、改めてバンド内で表現のすり合わせを行って欲しいと思います。バンドのギターやドラムがリードボーカルをかき消す程の音量で演奏することについては違和感を覚えやすいと思いますが、それがアカペラになると途端にその違和感に気づきにくいことが多々あります。リードボーカルがいて、それらを引き立てるコーラス、リズム隊という基本的な構成を意識して、リードボーカルと表現を共有しながら 1 曲の構成を考えて見て欲しいと思います。
〇ベースについて
私は基本的にベースを長年やっていますので、ベースの観点についてもお話しできればと思います。ベースについては音程に課題がみられるバンドもありましたので、ぜひ移動ド唱法の練習、ダイアトニックスケールを意識ながらの練習を行ってみて欲しいと思います。最低限、自分が演奏する曲のキーのダイアトニックスケールは頭に入れて演奏する必要があ
ると思います。上記を意識して練習するだけでも、音程は各段に改善されるはずです。ネット上にも移動ドでの練習などの情報は転がっていますので、ぜひ調べて実践してみてもらえればと思います。
〇最後に
最後になりますが、今一緒に歌を歌えているメンバーを大切に、ぜひこれからのアカペラ生活、大学生活を楽しんで欲しいと思います。私自身学生時代一緒に歌い続けた仲間たちは、社会人になってからも、アカペラ関係なく付き合いの続くかけがえのない存在です。ぜひ、今一緒に歌っているバンドのメンバーとの出会いを大切にし、これから長く続くアカペラ生活を楽しんでもらえればと思います。